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神話&伝承紹介Part6:バルドル

※当記事の詳細は「神話&伝承紹介」をご覧下さい

司法・光の神
出典…北欧神話
両親…父:オーディン 母:フリッグ
象徴…ブレイザブリク


■ 慈悲深き光の神 ■

雄弁で賢く、純粋で優しい、白い睫をもつ、光り輝く美しい容姿。
争いがないといわれるブレイザブリクの館に住み、
皆から愛される完璧な理想の貴公子、それがバルドルです。
優しすぎる性格ゆえに若干優柔不断なところもありますが、
その点は息子フォルセティがしっかりカバーしてくれています。

男神女神問わず、伴侶以外と関係を持つ神々が多い中、
夫バルドル、妻ナンナ、子フォルセティのぶれない家族関係は、
家庭という面でも理想の神だったのかもしれません。

そしてバルドルは北欧神話の中で重要な立場でもありました。
彼の死が引き金となって、神々の終焉となるラグナロクが始まるのです。


■ バルドルの死 ■

ある日、バルドルは不吉な夢を見ました。起きても消え去ることのない不安。
それを聞いた父オーディンがヘルの館を訪れると、宴の準備がされていました。
オーディンが巫女を呼び出し問いだしたところ、
蜜酒はバルドルのためのものであること、彼の弟ヘズがバルドルをここに運ぶこと、
オーディンとリンドの子ヴァーリが復讐することを知ります。

この件について神々が集まって話をしたところ、誰かがこう言いました。
「バルドルが死ななければ、死の国に行かなくていいんじゃない?」
なんという無茶ぶり発想……でもそこをどうにかするのが神様。
フリッグは9つの国を駆け巡り、皆にバルドルを傷つけないようお願いしました。
人間も、小人も、巨人も、トロルも、動物も、植物も、武器も、元素も、病気さえも、
ありとあらゆる存在が、バルドルを傷つけないことを誓ったのです。
実際に試してみようと、誰かがバルドルに小石をぶつけてみると、
バルドルは当たったことさえ気付かないぐらい、痛みなど感じなかったのです。

いつしか実験はエスカレートしていき、的当てゲームとして神々の娯楽となり、
的役であるバルドルも、楽しそうな皆の様子に笑顔でした。
しかし、人の不幸は蜜の味タイプのロキにとって、平和な光景は癪なもの。
ロキは老婆に化け、バルドルを心配するフリをしてフリッグに近寄り、
ヴァルハラの西の若いヤドリギだけは、誓いを取り付けなかったことを聞き出しました。
ロキは早速ヤドリギの枝で矢を作ると、次に、バルドルの弟ヘズに近寄りました。
仲間外れになっていないで一緒に楽しもうよ。僕がバルドルの場所を教えるから」
ロキに渡された矢をヘズが投げると見事に命中し、バルドルは息絶えてしまいます。
誰も彼らに報復はできず、皆、ロキとヘズを見つめるだけでした。

誰もが悲しみに暮れる沈黙の中、ふとフリッグが言いました。
「誰かヘルに、バルドルを返してもらえるように交渉してくれる者はいませんか?」
決して楽ではない冥界への道のりを立候補したのは、バルドルの弟のヘルモーズでした。
ヘルモーズが冥界へ向かう間、地上ではバルドルの葬儀が行われました。
バルドルの亡骸がフリングホルニに乗せられたのを見た妻のナンナは、
悲しみのあまり胸が張り裂けて、夫の後を追う形で亡くなってしまいます。
途中トールがぶちぎれて、死者(ミョルニルの犠牲者)が増えそうになったものの、
それ以外は特に問題なく夫妻の葬儀は進んでいきました。
一方、冥界に辿り着いたヘルモーズは、女王ヘルにバルドルの返還を求めました。
ちなみにバルドルとヘル(幻神ハイラ)の接点は、神話ではこの場面のみです。
ヘルは少し考えたあとに、こう言いました。
「9つの世界のあらゆるものがバルドルのために泣くなら、彼を地上に戻しましょう。
ただし、誰か1人でも泣く者がいなかったら許可することはできません」
もちろん皆が彼のために泣きました。かつてフリッグがとりつけた誓いのように。
しかし洞窟に住む女巨人セックだけは、どんなに頼み込んでも泣いてくれませんでした。
その正体がロキであることは明白でした。彼はバルドルの生を2度絶ったのです。

そしてラグナロクが訪れ、最終的にヴァーリは生き延び、バルドルとヘズも復活します。
殺し殺されの連鎖の3兄弟ですが、仲直りできたのでしょうか。


■ 女巨人スカジ ■

浮ついた話がないバルドルですが、美人の女巨人、スカジから求愛されたことがあります。
彼女は神々に父親を殺されたことを怒り、アースガルドに乗り込んできたのですが、
戦いに辟易していた神たちは彼女に和解を求めたところ、こう言いました。
「こちらから指定した神と結婚させてくれるならいいわよ」
彼女の理想の相手はバルドルでした。この要求に困った神々は、
足だけを見て相手を選ばなければならない、と条件をつけることにしました。
どこかのバラエティ番組にありそうな嫌がらせですが、スカジは承諾します。
足以外を布で覆い隠された神々を目の前にした彼女は、一番綺麗な足を選びましたが、
真っ白な美脚の持ち主は、毎日海で足を洗われている海の神ニョルズでした。
こうしてバルドルの結婚は回避されましたが、ニョルズとスカジの夫婦生活はというと、
海好きのニョルズと山好きのスカジでは相性が悪く、別居生活になったそうです。

なおスカジは、ロキ捕縛時に毒蛇の刑にした張本人です。
「ロキの口論」で過去を暴露された仕返しはもちろんのこと、
バルドル殺害の怨念も入っていたりしないでしょうかね。

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